奈良国立博物館「源信展」に行ってきました!
こんにちは、美和です。
今日は、最近の一番楽しかった展覧会についての報告です!
楽しすぎて会期中30日間も足を運びました(笑)
いつか観たい!と思っていた作品がずらりと出陳されており、喜々として通いました(笑)
滋賀聖衆来迎寺所蔵「六道絵」に、京都知恩院所蔵「阿弥陀聖衆来迎図(早来迎)」、和歌山県有志八幡講所蔵「阿弥陀聖衆来迎図」のなんと素晴らしいことか…
どれも展覧会で観ることができるというだけで貴重な作品です。
展覧会は、地獄のコーナーの次に極楽のコーナーという展示の構成になっており、最後には救われるという設定になっておりますのでご安心ください(笑)
地獄への扉
まずは地獄めぐりの旅に行ってみましょう~!!
恐ろしい地獄の責め苦を体感したい方はこちらの作品↓
地獄の獄卒(鬼)に舌をひっぱり出され、地面にくぎで打ち付けられたり、熱っっい石をのまされたり…
でも、閻魔さまは、鎌倉時代も現代も同じようなイメージを持っているんですね。閻魔さまといえば、目や口をカッと開き、ものすんごく怖い顔で、衣装は中国風。私たちもこんなイメージ持っていませんか?
何百年も昔の人たちと、現代の私たちが同じイメージを共有している♪素敵ですね。
実はすぐ近くに異界があるかも…とうすうす感じてる方はこちらの作品↓
ほろよい気分で歌を詠んだり、楽器を奏でたり、宴に興ずる貴族たち。一見平和そうな宴会だが…よくよく見ると小さな餓鬼が、ほろよい気分のおじさまの身体を這っているではないですか!
こんなふうに、昔の人も目には見えない存在を感じ取るときがあったのでしょうか。おもしろい。
衝撃!!の作品↓
この作品は、はじめて見るとぎょっとするかもしれません。なぜって、美しい女性の死体が腐っていく様子が描かれているのですから…
しかも、めっちゃ上手!!筆さばき、色づかい、、なんでこんなテーマの絵をここまで上手く描くの!?と叫んでしまいそうです。
極楽への扉
地獄とは一転してにこやかな(!?)菩薩さまたちが出迎えてくれます。
ほっとしたところに阿弥陀聖衆来迎の怒涛のオンパレード!!(阿弥陀聖衆来迎図がたっくさん展示されていたのです)
これでもか!と言わんばかりに来迎してくれます。嬉しい(泣)
来迎図には、いろんな雰囲気のものがあると私は思いました。
しんみりとして厳かで、いかにもひとりの人間がまさに臨終を迎えようとするときに目にしたのか、と思うようなもの。
一変して、菩薩たちが笑顔で楽器を奏で、腕を大きく振りながらダンスをするにぎやかなもの。
来迎図にはいろんな役目があったんだろう、と思います。
実際に死にゆく人がまなざすために、そして、死後遺された人々が、「いい往生だったね」「きっと極楽にいったね」と語り合うためのモニュメンタルとして…
来迎図はいろんな物語のなかで育まれていった、そういう絵なのです。
圧巻の傑作、知恩院所蔵阿弥陀聖衆来迎図(早来迎)と和歌山有志八幡講所蔵阿弥陀聖衆来迎図。
早来迎は、岩肌の力強い線と仏菩薩の繊細な線の対比が素晴らしかったです。有志八幡講の作品は、なんといってもスケールの大きさ!作品の真ん中に立つと本当に目の前に迎えに来てもらったような、ものすごい迫力がありました。
美しい線は、人を感動させることができる。
最後に…
今まで紹介した作品は、どれもある書物からインスピレーションを受けて創られたものです。
それは、源信の『往生要集』。
『往生要集』は、極楽往生への指南書。六道絵や来迎図、迎講など美術・芸術に大きく影響を及ぼしました。
見えないものを文字にする、見えないものをイメージにして表す。
今回の展覧会は、幻想と向き合った平安・鎌倉時代の人々の痕跡でした。その想像・創造力には脱帽です。